
建設機械の遠隔化・自動化ソリューションを提供するARAV株式会社様よりご依頼を受け、油圧ショベルの操作訓練シミュレータ「建シミュ / KenSIM」を受託開発しました。
本システムは、PCとゲームパッドというシンプルな構成で、建設機械の基本操作を安全かつ繰り返し学習できる訓練プラットフォームです。Unity 6を用いた物理シミュレーションや、実機に近い操作感を再現するチューニング機能などを実装しました。
課題
建設業界では、建設現場の省人化や自動化に向けて、建設機械の遠隔操作や自動運転の導入が進められています。一方で、それらの技術を使いこなすオペレーターを育成するための環境には、次のような課題がありました。
- 実機を使用した訓練には、建設機械や広い訓練場所の確保が必要になる
- 実機訓練では、衝突や誤操作による事故・機材損傷のリスクがある
- 天候や現場の稼働状況に左右され、繰り返し練習できる機会が限られる
- 大規模な専用設備がなければ訓練ができず、オフィス内で気軽に利用できる訓練環境がない
- 将来的な遠隔操作や自動運転技術の開発にも活用できる拡張性が既存の訓練環境には不足
ソリューション
ARAV株式会社様の構想や要件を基に、油圧ショベルの操作訓練に特化したシミュレータ「建シミュ / KenSIM」を開発しました。
Unity 6を活用し、油圧ショベルの動作や土砂との接触、車両との衝突などを仮想空間上に再現。PCとゲームパッドのみで利用できる構成とすることで、専用の大型設備を必要とせず、オフィスや研修施設にも導入しやすいシステムとしました。
主な開発内容は以下のとおりです。
- 油圧ショベルの掘削・旋回・積み込み操作のシミュレーション
- コックピット視点による実践的な訓練環境の構築
- ノートPCでも滑らかに動作する軽量な物理シミュレーション
- 衝突回数や作業時間などを用いたスコアリング機能
- 衝突・誤操作に対するペナルティ機能
- 操作軸ごとの入力ゲイン調整機能
- 車種やオペレーターの習熟度に応じた操作感のチューニング
- ROS連携やLiDAR、IMU、GNSS、RGBカメラ等のセンサ出力への拡張を想定した設計
成果
「建シミュ / KenSIM」は、第8回 国際 建設・測量展(CSPI-EXPO 2026)にて展示され、建設業界に携わる方に実際に操作していただきました。展示では、「実機の操作感に近い」、「実際にシミュレータとして導入したい」、「油圧ショベル以外の建機についても対応してほしい」などのポジティブなご意見をいただくことができました。
本システムの開発により、実機や専用の訓練場所を用意することなく、PC上で建設機械の基本操作を訓練できる環境を実現しました。仮想空間上であれば、衝突や操作ミスが発生しても人や実機を危険にさらすことがないため、受講者は失敗を恐れず、同じ操作を何度でも繰り返し練習できます。
また、ゲームパッドによる直感的な操作やスコアリング機能を取り入れることで、訓練への参加ハードルを抑えながら、操作技術と安全意識の習得を支援する仕組みを構築しました。さらに、訓練用シミュレータとしてだけでなく、将来的にはROSや各種仮想センサと連携し、自動運転アルゴリズムの開発・検証にも活用できる拡張性を備えています。
